下賀茂神社
◆プロローグ
古(いにしえ)の都である京都。初めて訪れたのは中学の修学旅行。
山村美紗さんの本と出会って読むうちに、京都という街にあこがれを抱いた。
高校の時に清水か八坂の辺りを歩いて迷い込んだら、山村美紗さんの家を見つけた。
今ではすっかり知られているが、隣は西村京太郎さんの家だった。
すごい偶然だとそれはそれはびっくりしたものだ。
それから社会人になっても社会人じゃなくなっても京都に行く機会があり、
お気に入りの場所などもできるようになった。
何年も行かないとさみしいという感情を持つようになったのはいつくらいからだろう。
私の故郷が小京都と呼ばれる町で、京都に行くとデジャビュに陥ることがあった。
実家に帰ると京都を思い、京都を訪れると実家のある故郷を想う。
京都はそんなふうに私の中では特別だった。
そんな京都の夏を私は知らなかった。
三方を山に囲まれた盆地は冬は寒く、夏は暑い。
町の真ん中を大きな川が貫いているその地形はまさに私の生まれ故郷そのもので、
厳しい冬の寒さや、うだるような夏の熱さも容易に想像できた。
唯一行ったことのない季節の京都。
今年の夏、たった一日だが私は京都を歩いた。
◆下賀茂神社
京都を貫く大きな川がある。
Yの字のおへその下部分に下賀茂神社はある。
上賀茂神社と併せて世界遺産に登録された場所に行きたかった。
いつからかずっとずっと行きたいと思っていた。
夏休み中の平日の午前中。電車に乗って下賀茂神社に行った。
京都に来てこの辺を歩くのははじめてだった。
なんというか観光客どころかあんまり人がいないように感じた。
派手さのない赤い鳥居をくぐると鬱蒼とした森が続き、辺りは荘厳な静けさに包まれていた。
ずっと晴れていたのに今日の空は白く、ときおり覗かせる陽射しもここには届かなかった。
ザシザシと音を立てて歩くと、前が騒がしい。
二人連れの若い娘さん達がきゃあきゃあと声をあげ、岩を前に携帯をかざしている。
なんだろうと見てみると、国歌「君が代」にうたわれている「さざれ石」があった。
大きな石のかたまりではなく、細かい石が集まっている岩だった。
昔の人は、これがいつか完全な一塊(ひとかたまり)になると信じていたらしい。
なんともいえない気持ちになって石を後にした。
足を進めると鮮やかな色が目に入った。
余談ではあるがここには「京都七不思議」のうちのひとつがある。
「連理の賢木(れんりのさかき)」という不思議な木だ。
なんと2本の木が途中から1本に!(接ぎ木とどう違うんだろう~)
今ある木はなんと4代目で、下賀茂神社の境内である糺(ただす)の森の神域に生まれてくるそう。
写真はとっていないが、縁結びのご神木で安産子育てにもいいらしいので片思いやカップルにはオススメかも☆
・・・と思い、いよいよ神社に近づくと!
なんてラッキー!
結婚を挙げるらしいカップルが!!!
ビバ☆平日☆
なんかの撮影じゃないかとキョロキョロしてしまった。
しかし神社の朱色(朱赤かな)と白色っていいですね~☆
日本の古代絵巻って感じ。
下賀茂神社(下鴨神社)の本当の名称と由緒紀。
賀茂御祖(かもみおや)神社というんですねー。
中に入ると池が。有名な御手洗池。葵祭りはここからはじまるんですかね。
「うわ~みどりいろ!ちょっとアレだな~」と密かに思ったことはナイショ☆
裸足になって足をつけている人がいるが私は絶対しないぜー
・・・と思ったけど相方がさっさと脱いで入り、強く勧められたのでしぶしぶ脱いだ。
☆!
冷たい!
足がしびれるようだった。
思ったよりぬるぬるしていない池の底を歩いてみた。
熱気のこもっていた身体が涼しくなった。
清水の中に足をつけながら用意された長いすに座り息をつく。
じっとしていると足がジンジンと冷たくなってきた。
「そろそろ行こっか」
階段に腰掛け、持っていたタオルハンカチで濡れた足を拭い、靴を履いた。
冷えた足を靴下がほわっと包み、歩いていてもさらさらしていた。
その感触が気持ちよかった。
特別拝観料500円を払って奥の領域へ入ることにした。
(続く)