ある人が千利休に尋ねました。「どうか茶の湯の極意を教えて下さい」
千利休は答えます。
「夏はいかにも涼しいように、
冬はあたたかに、
炭は湯の沸くように、
茶は服のよきようにお客をもてなすことです」
ある人はまた言いました。
「そんなことは誰でもわかっているのですが・・・」
それを聞いた千利休は
「それが出来るのならば、私が客になってあなたのお弟子になりましょう」
と答えたそうです。
茶の湯の極意とは、
一見当たり前のように思えることを実行に移すのは大変至極な事だということです。
これらの逸話をもとにして、利休七則がお茶会におけるもてなしの要諦として伝えられています。
その七つあるうちのひとつに「花は野にある様」というのがあるのですが、
この一言の持つ意味が深く心に残っています。
これは自然というものの尊さ、大切さを教えている言葉だそうです。
花は、野原で勝手気ままに咲いているわけではなく、
花自身の自然に具わった力で咲いているもので、
そうした花というもののあり方を損なうことなく、
そのままを茶室に持ってきて飾ることの意義深さを利休は説いています。