(その11の続き)
ベラッジオの噴水を観てホテルに戻ると夜も深まった。
一度部屋に戻り、帰り支度をすることにした。
海外旅行用のトランク、実は私の方が大きいサイズだ。いっぱいに荷物を詰めると重量オーバーの20kgを軽く超えそうな勢い。
まあなんとかなるさと気にせず詰めた。お土産はそんなに買っていないのになぜか重い・・・。
ラスベガス100周年記念のショットグラスをいくつか買い込んだのが原因かもしれなかった。
ホテルのチェックアウトの手続きは部屋でもできる。
テレビのチャンネルで自分達の支払うべき金額が確認できるのだ。
チェックインの時にカード番号を申告しているので精算は金額を確認後、自動的に行われるらしかった。
部屋に備え付けのFAXからはチェックアウトの書類が送信されるようになっている。
便利な世の中になったものだ。
私たちは観光などで出歩いていたので、精算の必要がなかった。フロントでキーを返却すればいい。
しかし、もしかしたら、部屋で精算を済ませてしまえば、ホテル内にあるキーBOXにキーを落とすだけでもいいのかもしれないと思った。
キーはカードなので、ハワイみたいにお土産にもらえるかなと期待したのだが、それはないのかもしれない。
お腹も空いてきたので何かを食べたかったが、これからどこかへ行く気もおきず、ホテル内で食べようかということになった。
ベネチアンホテルの中には高級なお店やオシャレなお店がたくさんある。
カジノで儲けていたら、もちろんアメリカナンバー1シェフのいる店に行ったのだが・・・。
連日ボリューミィな夕食&朝食が続いたので、そろそろあっさりしたものも食べたいというのが本音でもあった。
ニホンジン、ココロダケヂャナク、イモセンサイネ~(^~^;)
そして秘密にしていたが、私ったら旅行2日めくらいからずっと、
ラーメンが食いたかったとです!それも日本の(←限定)
ニューヨークでは今、日本食ブームで、なかでもラーメンの人気がすごいらしい。
アメリカで食べるラーメン・・・。うまいのか?という素朴な疑問もあるが。
そのラーメン、1杯1000円以上するので高価な食べ物だと思う。
いつかニューヨークに行ったら食べてもいいけど、アメリカ人向けの味になっていたらちょっと考えるかもだ。
ベネチアンホテル内で、ラーメンが出るお店はないかと見た中華料理店はえらく高そう・・・。
思案していると、サイトにお邪魔させていただいている方からのラスベガス情報を思い出した。
「カジノフロアにある中華料理店の料理は美味しい」
突然浮かび上がる情報。美味しいもの好きの私なのに今まで思い出せなかったとは不覚。
それを相方に伝えたら、
「なぜそれを早く言わないんだ」
と冷たく言われる。
・・・おいらもそう思ったぜよ。全くその通りなので反論せず^^;
カジノフロアにある店の入口付近にある英語のメニューから食べ物を想像してみる。
スタッフが「何人ですか?タバコは吸いますか?(思訳)」と聞いてきたので英語で答えると、
「日本語のメニューはいりますか?(日本語)」と言われた。
中国の人かと思ったが流暢な日本語だった。(英語はネイティブ)
私らの英語が拙いので日本語にしてくれたのだろう。
席に案内され、メニューを渡されたが英語の横には思いっきり日本語が書かれている。
私はトリでダシをとった塩ラーメンに焼豚スライスと北京ダックがのっているもの、相方は焼きそばを注文した。
お水とおはしを持ってきてくれた人は香港のお店にいたと言った。このお店は香港系の料理らしい。
香港は英語と広東語が公用語である。しかし意外と日本語を話せる人が多い。
中国に返還された今は、北京語も通じるようになっていると推測されるがどうなのだろうか。
香港はイギリス領土だったので、とてもレディ・ファーストが徹底されていて、男性がものすごく優しかった印象が強い。
さすが紳士の国って感じだったが、一年中スーツが着れるようにと、冬でも暖かな気候の香港では建物の中は冷凍庫みたいに冷えていたっけ。
店で出された料理は美味しかった。香港で食べた味と全く同じで、懐かしさがこみあげた。
もっと早くこのお店で食べれば良かったと思った。あと2~3回は来たかった。
黙々と目の前の料理を味わう。ラーメンも焼きそばもほんとに美味しい。
スタッフはさりげなく気を配り、味は大丈夫?とか、ちょくちょくテーブルを廻っている。
あまりの美味しさに私と相方は夢中で食べていたのだが、それがむっとして無言で食べているという印象だったのかも。
スタッフが、何か不手際があったのかと気にするのも無理はない。
相方の額にはくっきりと縦ジワが刻み込まれているので、黙っていると怖い。
私はというと、口がへの字になっている(富士山型)ので、無表情になるとすごく不満そうな顔になるのだ。
私はこの不満顔にならないように、旅行中ずっと気をつけて口角を上げ、笑顔でいるように心がけていた。
そのおかげで他の観光客の人やスタッフにフレンドリーに接してもらえたのかもしれない。
このホテルに入っているお店やカジノのスタッフ、警備の人は皆感じがいい。
ホテル内のコンビニっぽいお店で水を買ったとき、一生懸命日本語でお釣りを渡してくれた人もいた。
そういえば、このホテルで嫌な人に遭っていないような気がした。
ホテルはそれが普通なのかもしれないが、でもそれって結構難しいことだよなと思った。
美味しい食事を終えた後、ぶらぶらとカジノフロアを歩く。
他のホテルのカジノにも廻りたかったが、まあそれは次回かカジノモードの旅のときにしよう。
いつのまにかしっかりとリピーターになろうと思っている自分がいる。
一度行ったところは二度と行きたくない主義☆な相方との攻防が予想される。
夜もとっぷりと更けてから部屋に戻った。もういくらもしないうちに朝がくる。
「カジノを愉しもうと思ったら、ホテルの部屋なんて明け方や昼間に仮眠に戻るだけだよ」
というラスベガス好きな友人の言葉を思い出す。
「旅行の最後のほうになってくると(睡眠不足で)胃も疲れてくるから、バフェは早いうちに行ったほうがいいよ♪」
とも言っていたな。
今回ははじめてということもあり、いろいろと観光を入れたおかげで規則正しく過ごせたのかな。
体調を崩すことなく、無事に帰国の日を迎えることができた。
朝は6時過ぎから朝食クーポンが使えるので、6時を過ぎてからホテルの1階に向かった。
相変わらず気持ちのよい対応とサービスをされて美味しく朝食を食べた。
スタッフに「ありがとう」と言うと「ありがとう。いい1日を。愉しんでね(思訳)」と返される。
あと数時間で出発なんです。なんなら一年くらい住んでもいいのですがと思った。
ホテルに漂う香りとお別れかと思うと残念。部屋に戻ってチェックアウトに向かわねばならなかった。
早い時間なので、ホテルのお土産ショップはまだ閉まっている。
カジノで儲かったらホテルグッズをたくさん買って帰りたかったのだが、これも次回持ち越しだ。
ラスベガスではやり残したことがたくさんある。満喫したが、まだまだし足りないことが多すぎる。
タワー棟2階にあるフロントでのチェックアウトがあっという間に終わり、拍子抜けした。
ガイドさんがホテルに迎えに来るまでまだ時間がある。
フロント前にあるふかふかでゴージャスなソファに沈み込んで時間が経つのを待った。
大理石仕様のヨーロピアンな廊下。ジジジ・・・とロウソクにガス灯が供給される音。
立ち昇る甘い香り。
今はまだ夢の中にいるんだなと思わせられる。
今日のラスベガスも良く晴れている。昨日吹いた風はウソのように止んで、澄んだ景色がますます美しい。
朝からバンバン飛行機やヘリが飛んでいた。昨日飛べなかった分だよといわんばかりに空は大忙しのようだ。
ああよかった。帰りの飛行機は飛ぶ。きれいな青空で。できるなら揺れないで欲しい。
時間より早かったが、集合場所へ行くことにした。スーツケースをガラガラと引いて1階のフロントに行くと、○olidayのタグを付けた人がいた。
名前を名乗るとリストを確認してガイドさんは言った。
「ああ、エクセレントプランの方ですね。こちらは普通のツアーです。お迎えが来ますので集合場所でお待ち下さい」
見ると何人かが集まっていた。ツアーの人はここで集まって空港へ行くらしかった。
私たちは別のプランで車が別だった。到着した時から他のツアー客と一緒になったことがなかった。
ホテルのエントランスを出て左側にあるバスの停留所のベンチに座る。
ここが私たちが言われた集合場所で迎えの車が来る場所だ。今度はどんなパット・モリタが来るのか。
近くには宿泊客の車が停まり、運ばれた荷物がトランクや車内にどんどん積み込まれていた。
飾りのついた制服を着て、おそろいの刺繍のある帽子を被ったベル・ボーイが山のような荷物を運んだり、詰めたりしている。
金持ちそうな車の主人はベル・ボーイのお世辞に気をよくしたようで、楽しそうに会話していた。
絵に書いたようなお金持ちの夫婦だろうか。奥さんは終始ニコニコとしていた。
奥様の装いはカジュアルな半袖トップスに鮮やかな色の花柄フレアースカート。
都会のリゾート着、という雰囲気で金髪によく映えていた。
だんなさまは青と白のピンストライプのシャツに素材の良さそうな、たぶん麻の白いパンツ。
ドゥエ・ボットーニだろうか、仕立ての良さそうなシャツのえりがきれいに立っていた。
白い上着を石田純一のように肩にかけ、胸の中心で結んでいた。・・・ジュンイチめ。
車はオープンカー。ポルシェかフェラーリか。車に疎い私にはわからなかった。
(その13へ続く)※迎えの車でラスベガス空港へ。空港での光景などなど・・・。